「この試験の合格率は10%です」という数字には、何を何で割った値なのかが必ずあります。 同じ試験の同じ年でも、分母の取り方で合格率は数倍変わります。 掲載している17の国家資格について、その差がどれだけあるかを並べました。
公表値と、ほかの数え方で計算した値
各試験の直近回です。左が実施団体の公表している定義、右がそれ以外の数え方で計算した合格率です。 16試験には、公表値のほかにも意味のある数え方があります。 ほとんどは分母だけが違いますが、分子(何を「合格」と数えるか)が違うものもあります。
| 試験 | 回 | 公表されている合格率 | ほかの数え方で計算すると |
|---|---|---|---|
| 税理士 | 2025 | 21.6% 合格者合計÷受験者 | 1.5% 5科目到達者÷受験者 (分子が違う) 17.2% 合格者合計÷受験申込者 |
| 公認会計士 | 2025 | 7.4% 合格者÷願書提出者 | 35.1% 合格者÷論文式受験者 |
| 応用情報 | R7秋 | 24.5% 合格者÷受験者 | 16.1% 合格者÷応募者 |
| 電験三種 | 2025下期 | 13.1% 合格者÷受験者 | 9.2% 合格者÷申込者 |
| 司法試験 | 2025 | 41.2% 合格者÷受験者 | 54.5% 合格者÷短答式合格者 38.8% 合格者÷出願者 |
| 行政書士 | 2025 | 14.5% 合格者÷受験者 | 11.4% 合格者÷申込者 |
| 技術士 | 2025 | 11.4% 合格者÷受験者 | 9.0% 合格者÷受験申込者 |
| 宅建士 | 2025 | 18.7% 合格者÷受験者 | 15.0% 合格者÷申込者 |
| 社労士 | 2025 | 5.5% 合格者÷受験者 | 4.4% 合格者÷受験申込者 |
| 司法書士 | 2025 | 5.2% 合格者÷受験者 | 4.3% 合格者÷出願者 |
| 気象予報士 | 第65回 (2026.01) | 5.3% 合格者÷受験者 | 4.6% 合格者÷申請者 |
| 電験二種 | 2025 | 16.5% 合格者÷受験者 | 14.6% 合格者÷受験有資格者 |
| 電験一種 | 2025 | 31.7% 合格者÷受験者 | 28.8% 合格者÷受験有資格者 |
| 弁理士 | 2025 | 6.4% 合格者÷受験者 | 5.9% 合格者÷志願者 |
| 中小企業診断士 | 2025 | 17.6% 合格者÷全科目受験者 | 17.5% 合格者÷1科目でも受験した人 16.9% 合格者÷申込者 |
| 医師国家試験 | 第120回 (2026.02) | 91.6% 合格者÷受験者 | 89.2% 合格者÷出願者 |
| 原子炉主任技術者 | 2026 | 8.3% 合格者÷受験者 | ほかの数え方は公表されていない |
分母でいちばん開くのは公認会計士
公認会計士の2025は、公表されている合格率が 7.4%(合格者÷願書提出者)です。 同じ合格者数を論文式受験者で割ると 35.1%になります。 約4.7倍の開きです。
どちらかが間違っているわけではありません。分母が違えば、答えている問いが違います。 願書を出した人のうち何割が受かるかという数字と、最終段階まで進んだ人のうち何割が受かるかという数字は、 別のことを表しています。前者は受験を考えている人にとっての見通しに近く、 後者は試験そのものの選抜の強さに近い数字です。
税理士は、分母ではなく分子が変わる
税理士の直近回(2025)は、公表合格率が 21.6%、別の数え方では1.5%です。 ただしこの2つは、分母が違うのではありません。どちらも分母は受験者で、 変わっているのは分子のほうです。
税理士は科目ごとに合格でき、5科目そろって資格になります。 公表値の分子はその年に1科目以上受かった人で、1.5%の分子は その年に5科目目に到達した人です。前者は途中経過、後者は到達者の数で、 数えているものが別です。後者を呼ぶなら「合格率」ではなく 「5科目到達者の割合」と呼ぶほうが正確です。
税理士を他の試験と並べて「合格率21.6%」と書くと、 1年で資格に到達する割合がその水準にあるように読めてしまいます。 科目合格の積み上げで取る試験を、1回勝負の試験と同じ物差しに載せることはできません。
なぜ数え方が1つに決まらないのか
- 段階のある試験。 公認会計士は短答式と論文式に分かれます。公表合格率の分母は願書提出者なので、 短答式で絞られた人数はそこに含まれたままです。
- 科目単位の試験。 税理士は科目ごとに合格でき、合格者には一部科目の合格者が含まれます。 分母ではなく、分子の意味が他の試験と違います。
- 申込みと受験のずれ。 申し込んでも来ない人がいます。宅建士は毎年2割前後が欠席します。 申込者で割るか受験者で割るかで、率は変わります。
合格率を読むときは、何を何で割った値なのかを一緒に確かめる必要があります。 試験ごとのページでは、分母を切り替えて同じ年の合格率を見比べられます。
数値の出どころは各試験のページに、確かめた結果はこちらにあります。