税理士試験の科目を選ぶとき、前年の合格率の高さは分かりやすい目印です。 しかし、2024年度と2025年度を比べると、財務諸表論の率は大きく上がり、簿記論の率は下がりました。 ある年の合格率を、その科目の固定的な受かりやすさとして扱うことはできません。
科目によって、前年からの動きが異なる
| 科目 | 2024受験者 | 2024合格者 | 2024合格率 | 2025受験者 | 2025合格者 | 2025合格率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 簿記論 | 17,711 | 3,076 | 17.4% | 18,466 | 2,058 | 11.1% |
| 財務諸表論 | 13,665 | 1,099 | 8.0% | 15,629 | 4,980 | 31.9% |
| 所得税法 | 1,195 | 150 | 12.6% | 1,120 | 146 | 13.0% |
| 法人税法 | 3,583 | 588 | 16.4% | 3,606 | 488 | 13.5% |
| 相続税法 | 2,515 | 471 | 18.7% | 2,413 | 333 | 13.8% |
| 消費税法 | 7,206 | 740 | 10.3% | 7,064 | 712 | 10.1% |
| 酒税法 | 528 | 64 | 12.1% | 590 | 72 | 12.2% |
| 国税徴収法 | 1,670 | 217 | 13.0% | 1,671 | 231 | 13.8% |
| 住民税 | 461 | 84 | 18.2% | 439 | 78 | 17.8% |
| 事業税 | 249 | 34 | 13.7% | 310 | 38 | 12.3% |
| 固定資産税 | 893 | 161 | 18.0% | 928 | 144 | 15.5% |
財務諸表論は、合格者が1,099人から4,980人に増え、 合格率は8.0%から31.9%へ、 23.8ポイント上昇しました。
対して簿記論は、受験者が17,711人から18,466人に増えたものの、 合格者は3,076人から2,058人に減り、 合格率は17.4%から11.1%に下がっています。 同じ会計科目でも、率が同じ方向に動くとは限りません。
科目ごとの受験者は、同じ集団ではない
各科目の表は、その科目を実際に受けた人の結果です。 学習経験、ほかの科目の合格状況、受験回数などをそろえて受けてもらった比較ではありません。 合格率の差には試験問題以外の違いも含まれ得るため、率の順番をそのまま科目の難易度ランキングにはできません。
また、会計科目は2023年度から受験資格の制限がなくなりましたが、税法科目には受験資格があります。 このように受験の入口も異なります。科目を選ぶ際は、率の高さより先に、受験資格と必要な科目の組合せを確認します。
科目別の人数を合計すると、実際の人数より多くなる
2025年度の科目別受験者数を足すと52,236になります。 一方、実人数として公表された受験者数は36,320人です。 同じ人が複数科目を受けると、科目別の合計では複数回数えるためです。
科目別の合格者数の合計も9,280で、 全体の合格者等の実人数7,847人とは一致しません。 率を単純平均しても、実人数を分母にした全体の率にはなりません。 人数の重複と、5科目到達の扱いは、税理士試験の「合格者」の読み方で詳しく説明しています。
科目選択には、率の予測より準備状況を使う
2025年度の財務諸表論の率が高かったことから、翌年も高いと予測する根拠は得られません。 反対に、「高かった翌年は必ず下がる」という法則も、この2年度だけでは示せません。 公表値は過去の集計であり、翌年の採点結果の予告ではありません。
実際の計画では、既に合格した科目、受験資格、使える学習時間、過去問で確認した理解の不足を整理します。 合格率は過去の結果の幅を知る補助材料にとどめると、前年の数字だけを理由に科目を変更する判断を避けられます。 科目合格制度の基本は、1科目から受ける税理士試験も参照してください。