受けるかどうかを決めるとき、まず過去の合格率を見ると思います。 何年か並べて、上がっているのか下がっているのかを確かめます。
ただし、その比較が成り立たない試験があります。 受け方そのものが途中で変わった試験です。 同じ名前の試験でも、前と後では数字の意味が違います。
受け方が変わった試験
収録している74試験のうち、12試験では、制度変更の前後のデータを 連続した系列としてつなげていません。グラフの折れ線も、そこで区切っています。
| 試験 | 何が変わったか |
|---|---|
| 情報セキュリティマネジメント試験 | 2023年度にCBT方式へ変わりました。それ以前の回とは受け方が違うので、同じ線でつなげません。 |
| 基本情報技術者試験 | 2020年度から、CBT方式で随時受けられる回が加わりました。春期・秋期だけだった回とは、申込みの仕組みも実施時期も違います。 |
| G検定 | G2024#6から適用されるシラバスに基づき、変更前後を同じ線でつないでいません。 |
| 生成AIパスポート試験 | 2026年2月試験から適用されるシラバスに基づき、変更前後を同じ線でつないでいません。 |
| 第三種電気主任技術者試験 | 2022年度から年2回(上期・下期)になりました。同じ年度に2回受けられるため、1回あたりの受験者数も、1年の合格者数の意味も、それ以前とは違います。 |
| 第一種電気工事士試験 | 2024年度から年2回(上期・下期)になりました。同じ年度に2回受けられるため、1回あたりの受験者数も、1年の合格者数の意味も、それ以前とは違います。 |
| 公認会計士試験 | 2021年の短答式試験は1回だけ実施されました。ほかの年は年2回なので、1回あたりの人数を同じ意味では比べられません。 |
| 税理士試験 | 受験資格緩和 |
| 日商簿記検定 | 集計期間が年度全体か一部期間かで異なるため、期間の境目では線をつなぎません。 |
| 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 | 2級は2025年4月からCBT方式(テストセンターで随時受検)になりました。紙の試験は決まった日に受ける形で、CBTは受検期間のあいだに人ごとに違う日に受けます。1回あたりの人数の意味が変わるため、ここで系列を切っています。 |
| 3級ファイナンシャル・プランニング技能検定 | 3級は2024年4月からCBT方式(テストセンターで随時受検)になりました。紙の試験は決まった日に受ける形で、CBTは受検期間のあいだに人ごとに違う日に受けます。1回あたりの人数の意味が変わるため、ここで系列を切っています。 |
| 介護福祉士国家試験 | 第29回から、実務経験で受ける人に実務者研修の修了が求められるようになりました。前後で受ける人の顔ぶれが変わっています。 |
大きく2つに分かれます。 CBT方式(会場のコンピュータで受ける方式)に変わったものが5試験、 残りは年2回になったものです。 どちらも「1回あたり何人受けたか」の意味が変わります。
CBTになると、受験者数が大きく変動します
決まった日に全員が受ける形から、期間のあいだに人それぞれの日に受ける形へ変わると、 申し込みの仕組みも変わるため、受験者数が大きく変動します。
下の表は、収録しているいちばん古い回と直近の回を並べたものです。 その期間にはCBT方式への移行が含まれています。移行の直前と直後だけを比較した数字では ありません。
| 試験 | 収録のはじめ | 直近 | 受験者 |
|---|---|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 26.6% 2016/99,999人 | 38.3% 2025/147,186人 | 1.5倍 |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | 79.0% H28/36,589人 | 70.0% R7/45,924人 | 1.3倍 |
受験者数は、どちらも大きく増えました。 ただし、合格率の変動は逆です。 基本情報技術者試験は26.6%から38.3%へ 上がり、一方、情報セキュリティマネジメント試験は79.0%から70.0%へ 下がりました。
「CBTになって易しくなった」とも「難しくなった」とも言えません。 受ける人の層が広がったのか、試験の中身が変わったのかは、 公表資料からは切り分けられないからです。 受けやすくなれば、これまで受けなかった層の人も受験するようになります。 その人たちの結果が混ざった数字を、前の数字と並べることはできません。
年2回になった試験も同じです
1年に2回受けられるようになると、 1回あたりの受験者は減り、1年の合格者は増えることがあります。 同じ人が同じ年に2回受けられるため、延べ人数と実人数が異なります。
この場合、「1回あたりの合格率」を前後で比べても、同じものを比べたことになりません。 受ける機会が増えたぶん、1回1回の重要度も変わります。
線は切っていないが、注記のある試験
受験する人の層が変わったものの、データは連続したものとして扱っている試験が 7つあります。読むときは、この注記を念頭に置いてください。
| 試験 | 注記 |
|---|---|
| ITパスポート試験 | 2021年度から応募者が大きく増えました。理由は公表資料からは分かりません。 |
| 第二種電気工事士試験 | 2023年度から、会場のコンピュータで受けるCBT方式の回が加わりました。数値にはCBT方式の分も含まれます。 |
| 一級建築士試験 | 2020年(令和2年)の試験から、受験の要件だった実務経験が免許登録の要件に変わりました。学校を出てすぐ受けられるようになり、受験する人の層が動いています。 |
| 司法試験 | 法科大学院在学中の受験資格が加わり、受験者の構成が変わりました。折れ線はつないでいますが、前後で受験者の層が違います。 |
| 司法書士試験 | 2024年度から記述式問題の配点が変わり、筆記試験の満点が280点から350点になりました。合格点の数字を、前後でそのまま比べることはできません。 |
| 弁理士試験 | 日程延期 |
| 宅地建物取引士資格試験 | 年2回実施 |
受ける側にとっての違い
数字の読み方だけでなく、計画の立て方も変わります。
決まった日に受ける試験は、その日に合わせて準備を仕上げる必要があります。 落ちれば、次は半年後か1年後です。 一方、CBTで随時受けられる試験なら、準備ができた時点で申し込めます。 落ちても、次に受け直すまでの間隔が短くなります。
落ちたときに何を失うかは 『落ちたとき、何を失うか』に、 試験ごとの実施回数は 『年に何回受けられるのか』に まとめています。
古い合格率を見るときに
試験ページのグラフは、受け方が変わった年を境に折れ線を切っています。 切れているところがあれば、その前後は別の試験だと思って読んでください。
「10年前は合格率が高かった」という話を見かけたら、 まずその期間に受け方が変わっていないかを確認したほうがよいでしょう。