このサイトは、国家試験の人数を公表資料からそのまま集めています。 その中に、作り話のような数字が混じっていました。
基本情報技術者試験の2016年度、受験者は 99,999人でした。
あと1人で10万人です。打ち間違いを疑って原本を確かめましたが、 情報処理推進機構の推移表にそのまま載っている値でした。 同じ年の合格者26,591人から計算すると合格率は26.6%になり、公表値とも合います。
こういう数字を見ると、何かあるのではと思ってしまいます。 そこで、手元のデータに「できすぎた数字」がいくつあるのかを全部数え、 偶然ならいくつ出るはずかを計算して、それと比べてみました。
数え方
対象は人数の列だけです(申込者・受験者・合格者・最終段階の受験者・5科目到達者)。 合格率や年は数えていません。全部で3,589個あります。
| 桁 | 個数 |
|---|---|
| 1桁 | 9 |
| 2桁 | 68 |
| 3桁 | 462 |
| 4桁 | 1,706 |
| 5桁 | 1,276 |
| 6桁 | 68 |
偶然なら何個出るか
たとえば4桁の数は9,000通りあり、そのうちぞろ目は1111から9999までの9通りです。 1,000個に1個の割合です。桁ごとにこれを計算して、個数をかけると、 「偶然ならいくつ出るはずか」が出せます。
| 形 | 例 | 偶然なら | 実際に |
|---|---|---|---|
| ぞろ目 | 4,444 | 6.5個 | 6個 |
| 連番(増える) | 567 | 4.8個 | 1個 |
| 連番(減る) | 4,321 | 4.8個 | 7個 |
| 回文 | 1,441 | 29.9個 | 21個 |
| 繰り返し | 2,525 | 17.1個 | 19個 |
ぞろ目は、偶然なら6.5個のところ、実際に6個ありました。 ほかの形も、多かったり少なかったりはしますが、桁違いに多い・少ないということは ありません。 できすぎた数字は、偶然に期待できる程度の数だけ出ています。
実際にあったもの
ぞろ目(6個)
| 人数 | 試験 | 回 | 項目 |
|---|---|---|---|
| 99,999 | 基本情報技術者試験 | 2016 | 受験者 |
| 6,666 | 保健師国家試験 | 104 | 合格者 |
| 4,444 | 中小企業診断士試験 | 2019 | 合格者 |
| 4,444 | きゅう師国家試験 | 25 | 受験者 |
| 222 | 原子炉主任技術者試験 | 2016 | 受験者 |
| 222 | 危険物取扱者試験 | R7年度5月 | 合格者 |
連番(増える)(1個)
| 人数 | 試験 | 回 | 項目 |
|---|---|---|---|
| 567 | システムアーキテクト試験 | R3 | 合格者 |
連番(減る)(7個)
| 人数 | 試験 | 回 | 項目 |
|---|---|---|---|
| 987 | 歯科技工士国家試験 | H28年度 | 合格者 |
| 543 | エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | H28 | 合格者 |
| 432 | 木造建築士試験 | 2022 | 受験者 |
| 321 | エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | R2 | 合格者 |
| 321 | 木造建築士試験 | 2024 | 合格者 |
| 210 | 気象予報士試験 | 64 | 合格者 |
| 210 | 原子炉主任技術者試験 | 2018 | 受験者 |
回文(21個)
| 人数 | 試験 | 回 | 項目 |
|---|---|---|---|
| 99,999 | 基本情報技術者試験 | 2016 | 受験者 |
| 58,385 | 第二種電気工事士試験 | 2017上期 | 申込者 |
| 45,054 | 第一種電気工事士試験 | 2016 | 申込者 |
| 42,824 | 第二種電気工事士試験 | 2018上期 | 合格者 |
| 41,914 | 第二種衛生管理者免許試験 | R6年度 | 申込者 |
| 35,553 | 賃貸不動産経営管理士試験 | 2021年度 | 申込者 |
| 22,922 | 日商簿記検定 | 第168回 | 申込者 |
| 21,512 | 二級建築士試験 | 2024 | 受験者 |
| 15,851 | 危険物取扱者試験 | R7年度11月 | 合格者 |
| 13,231 | 公認会計士試験 | 2020 | 申込者 |
| 7,117 | ITストラテジスト試験 | H25 | 申込者 |
| 6,666 | 保健師国家試験 | 104 | 合格者 |
ほか9個。
繰り返し(19個)
| 人数 | 試験 | 回 | 項目 |
|---|---|---|---|
| 9,393 | 公認会計士試験 | 2020第Ⅰ回 | 申込者 |
| 8,181 | システムアーキテクト試験 | H27 | 申込者 |
| 8,080 | 第二種電気主任技術者試験 | 2016 | 申込者 |
| 6,666 | 保健師国家試験 | 104 | 合格者 |
| 6,161 | 中小企業診断士試験 | 2019 | 申込者 |
| 5,757 | 日商簿記検定 | 第172回 | 合格者 |
| 5,353 | 行政書士試験 | 2021 | 合格者 |
| 4,747 | ITストラテジスト試験 | H29 | 受験者 |
| 4,646 | エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | H30 | 申込者 |
| 4,444 | 中小企業診断士試験 | 2019 | 合格者 |
| 4,444 | きゅう師国家試験 | 25 | 受験者 |
| 3,535 | 精神保健福祉士国家試験 | 2 | 受験者 |
ほか7個。
99,999は、どれくらい珍しいのか
5桁の数は90,000通りあり、ぞろ目は9通りです。1万個に1個の割合です。 手元には5桁の人数が1,276個あるので、 この中に5桁のぞろ目が1個でも現れる確率は12.0%になります。
4桁だともっと高くなります。4桁の人数は1,706個あり、 1個でも現れる確率は81.9%です。ほぼ出ます。 実際、4,444人という人数は2件 (中小企業診断士試験ときゅう師国家試験)ありました。
珍しいことが起きたのではなく、数が多ければ珍しい形も現れる、というだけです。 3,589個のうち、どれかの形になったのは47個(1.3%)でした。
数え方による限界
上の「偶然なら」は、数字が一様に散らばっている前提で計算しています。 実際の人数はそうではありません。受験者数は試験ごとに決まった範囲に集まりますし、 先頭の桁の出かたにも偏りがあることが知られています。 だから予測はおおよその目安であり、実際の値とぴったり合うことを期待するものでは ありません。
どの形を「できすぎ」と呼ぶかも、何をそう定義するかの問題です。 ここでは5つに絞りましたが、「きりのいい数」「同じ数字が3つ並ぶ」なども入れれば、 該当する数は増えます。
これが、このサイトの主題とつながるところ
人は数字の形に意味を読み取ります。99,999人を見て、 何かあると感じたなら、それは自然な反応です。
ただ、合格率の読み違いも、仕組みは同じです。 「合格率7.4%」と「35.1%」は同じ試験の同じ年の数字で、 何人の中で数えたかが違うだけでした。 目に入った数字に、つい意味を足してしまいます。
数字そのものより、その数字がどう作られたかを見る。 このサイトが人数と出典を並べて出しているのは、そのためです。