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特許査定率は出願すれば通る確率なのか

出願件数、一次審査件数、最終処分件数の違いから、特許査定率の意味を確かめます。

公開:2026-10-30

発明について特許を取ろうと考えると、どれくらいの出願が認められるのか気になります。そこで特許査定率を見ると、自分が出願した場合の見込みに使えそうに感じるかもしれません。

特許庁の2026年版年次報告書では、2025年の特許査定率は76.5%です。ただし、これは「2025年に出願した案件の76.5%が特許になった」という意味ではありません。その年に最終処分となった案件を、所定の定義で集計した割合です。

分母はその年の出願件数ではない

特許庁が示す計算式は、次のとおりです。

特許査定件数 ÷(特許査定件数+拒絶査定件数+一次審査着手後の取下げ・放棄件数)×100

2025年の件数を並べると、分母がどこからできているかが分かります。

集計項目件数
特許査定169,027件
拒絶査定50,816件
一次審査着手後の取下げ・放棄1,230件
上の3項目の合計221,073件

169,027 ÷ 221,073 × 100で、小数第1位に丸めると76.5%になります。

出典:特許庁「特許行政年次報告書2026年版 第1部第1章」(PDF 2ページ、冊子ページ1-3、図1-1-5「特許審査実績及び最終処分実績の推移」)。合計は3項目から計算しています。公表の定義では、前置審査・審判段階を含みません。

一次審査件数で割ると別の数字になる

同じ資料には、2025年の一次審査件数217,395件も載っています。仮に、特許査定169,027件をこの数で割ると、77.8%になります。

割る相手計算結果数字の位置付け
最終処分の3項目の合計221,073件76.5%特許庁の特許査定率
一次審査件数217,395件77.8%同年の別工程の件数同士を割った比率

出典:同資料の図1-1-5。77.8%は比較のための独自計算で、公表の特許査定率ではありません。

どちらも同じ年の件数なので、取り替えてもよさそうに見えるかもしれません。しかし、その年に一次審査を受けた案件が、その年に最終処分となった案件と一件ずつ対応しているわけではありません。

前年以前に審査が始まった案件の結果が、その年に出ることも考慮する必要があります。同じ年というだけで、入口の集団と出口の集団が一致するとは言えないのです。

出願した人の見込みを知るには別の追跡が必要

「ある年に出願した案件のうち、最終的にどれくらいが認められたか」を知りたければ、その年の出願を一つの集団として追い、その後の結果を確認する必要があります。

年間の処理件数を集めた表と、同じ案件を時間をかけて追った結果は、答える問いが異なります。出願からの経過が違う案件を含む年次の割合を、そのまま一つの出願の成功確率に置き換えることはできません。

さらに、特許査定率は、分野や内容の違う案件を含む集計値です。自分の発明にその割合をそのまま当てはめる根拠にもなりません。

特許査定と特許登録も区別する

公式表には「特許査定件数」と「特許登録件数」が別々に掲載されています。査定は審査での判断、登録は権利の登録という別の段階です。表の項目を入れ替えて同じ率と呼ぶことはできません。同資料の最終処分実績の表を参照してください。

特許査定率を読むときは、「どの年に出願したか」より先に、その率がどの段階の案件を集めたものかを確認します。76.5%は、その定義の範囲で審査結果の構成を知る数字です。自分が出願するかを考える際には、発明の内容に即した検討が別に必要になります。

年別のデータ:特許審査の実績と特許査定率

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