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国民年金の納付率はなぜ同じ年度分に2つあるのか

同じ年度分でも違う現年度納付率と最終納付率。人数ではなく月数を数える定義から読みます。

公開:2026-10-30

国民年金の納付率を見て、「結局、どれくらい納められているのか」と知りたくなったとします。ところが、公表資料には現年度納付率と最終納付率があり、同じ年度分の保険料でも値が違います。

2023年度分の保険料では、現年度納付率が77.6%、最終納付率が85.6%です。二つの数字は、どこまでの期間に納められた分を数えるかが違います。さらに、納付率の単位は人数ではなく、月数です。

同じ年度分の保険料を異なる時点で見る

指標2023年度分について数える納付公表値
現年度納付率当該年度中の納付。集計上は翌年度4月末までを含む77.6%
最終納付率その後の過年度分の納付も含む、過年度2年目までの納付85.6%

出典:厚生労働省「令和7年度の国民年金の加入・保険料納付状況」(2026年7月、PDF 4ページ・表3と注1〜2)。差は8.0ポイントで、資料本文にも示されています。

現年度納付率は途中経過を見る指標です。その後に納められた過年度分も含めて、最終的な状況を見たものが最終納付率です。

ここでは、どちらも2023年度分の保険料を見ています。「2023年度の納付率」と「2025年度の納付率」を比べて、別の年度分の納付が改善したという話とは区別する必要があります。

資料の年度と保険料の年度を分けて読む

資料名にある令和7年度は2025年度です。その資料に載る最終納付率85.6%は、令和5年度、つまり2023年度分の保険料についての値です。

このように、公表資料や集計時点の年度と、保険料が何年度分なのかは一致しないことがあります。複数年の数字を並べるときは、見出しの年度だけでなく、その下の「○年度分保険料」まで確認すると、違う年度分を混ぜずに済みます。

納付率85.6%は人の割合ではない

この統計の納付率は、納める対象になっている月数のうち、納付された月数が占める割合です。

納付月数 ÷ 納付対象月数 × 100

説明のために、2人がそれぞれ12か月分を納める対象で、1人が12か月、もう1人が6か月を納めた場合を考えます。対象は計24か月、納付は計18か月なので、納付率は75%です。これは仮定の例です。

2人とも一部以上は納めている一方、すべて納めた人は1人です。月数の75%は、どちらの人数割合とも違います。実際の85.6%についても、「加入者の85.6%が納め、残りが全く納めていない」とは読めません。

免除や猶予の月数も区別される

納付対象月数には、法定免除・申請全額免除・学生納付特例・納付猶予・産前産後免除の月数が含まれません。一方、申請一部免除の月数は含まれます。免除等に係る追納月数は、この計算の対象月数・納付月数に含まれていません。同資料のPDF 4ページ・注1で定義されています。

制度上、納める対象から外れている月を、未納の月として一緒に数えた率ではないということです。

また、現年度と最終の集計では、納付対象月数そのものも同じとは限りません。8.0ポイントの差を、そのまま「同じ対象の8%が後から払った」と人数に読み替えることもできません。

数字の前に年度と月数の定義を見る

納付率を見るときは、何年度分の保険料か、現年度と最終のどちらか、どの月数が対象かを確認します。これで、二つの率が違う理由と、何を測っているかを整理できます。

この納付率が答えるのは、定義された対象月数に対する納付の状況です。公的年金加入者全体のうち何人が未納なのかや、将来の給付がどうなるかは、この一つの割合からは判断できません。

年度分ごとのデータ:国民年金保険料の納付率

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