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就職率98.1%と73.3%は何が違うのか

就職希望者と卒業者全体。分母を変えると就職率が変わる理由を、仮の人数と公式調査で説明します。

公開:2026-10-30

就職先を見つけられるか、進学先の就職実績をどう読むか。そう考えて就職率を見ると、98.1%という数字は「卒業生のほぼ全員が就職した」という意味に見えるかもしれません。

ところが、2023年度卒業者を対象とした文部科学省・厚生労働省の調査には、大学の就職率98.1%と、卒業者全体に占める就職者の割合73.3%が、同じページに載っています。

違いを生むのは、就職した人を「誰の中で数えるか」です。就職を希望する人の中で数えるのか、進学などを選ぶ人も含めた卒業者全体の中で数えるのかで、答える問いが変わります。

就職を希望する人の中で数えると98.1%

今回の数字は、2024年3月に卒業した大学生についての、2024年4月1日現在の値です。

知りたいこと割合を出す計算公表値
就職を希望する人のうち、何割が就職したか就職者数 ÷ 就職希望者数 × 10098.1%
卒業者全体のうち、何割が就職したか就職者数 ÷ 卒業者数 × 10073.3%

出典:文部科学省「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査結果」(2024年5月24日、PDF 3ページ「全体の概要」、4ページの定義)。卒業者全体には、進学希望者、自営業、家事手伝いなども含まれます。

割り算の「何で割るか」に当たる数を、分母と呼びます。上の行の分母は就職希望者数、下の行は卒業者数です。「誰を全体として数えた割合か」と読み替えると、数字の意味がつかみやすくなります。

同じ人数でも全体の取り方で割合は変わる

簡単な例で考えてみます。ここからの人数は説明のための仮定で、実際の調査結果ではありません。

卒業生が100人いて、80人が就職を希望し、そのうち76人が就職したとします。

数える範囲計算割合
就職を希望する80人の中76 ÷ 80 × 10095%
卒業生100人の中76 ÷ 100 × 10076%

就職した人は、どちらも76人です。95%と76%の違いは、比較する全体を80人にするか、100人にするかで生まれます。

就職を希望する人が仕事に就けたかを知りたいときは、前者が問いに合います。卒業後の進路のうち就職が占める割合を知りたいときは、後者が合います。

73.3%の残りを就職できなかった人とは読めない

卒業者全体に対する割合が73.3%なら、100%との差は26.7ポイントです。ただし、これを「卒業生の26.7%が就職を希望したのに就職できなかった」と読むことはできません。

全体には、大学院への進学など、就職以外の進路を選ぶ人も入っています。希望どおり進学した人と、就職を希望しても決まらなかった人を、ひとまとめにしてしまうためです。

逆に、98.1%という就職率から、就職先への満足度や、希望した職種に就けたかまでは分かりません。就職の有無と、希望する働き方がかなったかは、別に確かめたいことです。

誰を調べた数字かも確認する

この大学等の調査は、全員を調べたものではありません。大学・短期大学・高等専門学校・専修学校から選んだ計112校、6,250人が対象です。この学校数と人数は、大学だけの数ではありません。調査内容は同資料のPDF 3ページに記載されています。

ここでは、二つの確認を分けると整理できます。

  • 誰を調べたか。 全員を調べたのか、一部を選んで調べたのか。
  • 誰の中で割合を出したか。 就職希望者を全体とするのか、卒業者全体とするのか。

今回の98.1%と73.3%は、後者の違いです。そのうえで、どちらも抽出調査による数字だと押さえておきます。

就職率を比べる前にそろえる条件

進学先の資料やニュースで就職率を見たら、数字のすぐ下にある定義を確認してみてください。

まずは「就職希望者のうち」なのか「卒業者全体のうち」なのか。次に、何年に卒業した人を、いつの時点で調べた数字なのか。そして、大学全体なのか特定の学部なのか、どの範囲の数字なのかを確かめます。

この記事の数値は2023年度卒業者についてのものです。最新の就職状況や、特定の大学の実績を表す数字ではありません。自分が知りたいことと、数字が答えていることを合わせると、比較の意味がはっきりします。

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