宅地建物取引士の試験を受けるとき、登録講習を受けるかどうかという選択があります。 修了すると5問が免除されますが、受講には日数と費用がかかります。 その分の時間を勉強にあてたほうがよいのではないか、と迷うところです。
先に条件を書きます。 登録講習を受けられるのは、宅地建物取引業に従事している人(従業者証明書を持つ人)だけです。 誰でも選べる選択肢ではありません。
この判断の材料になる数字が公表されています。 実施団体は、登録講習修了者と一般受験者を分けて合格率を出しています。
修了者と一般受験者の合格率
収録している10年分です。どちらも、合格者数をそれぞれの受験者数で割った率です。
| 年度 | 登録講習修了者 | 一般受験者 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2016年度 | 20.0% 8,821/44,123 | 14.1% 21,768/154,340 | +5.9pt |
| 2017年度 | 19.9% 9,464/47,487 | 14.3% 23,180/161,867 | +5.6pt |
| 2018年度 | 20.6% 10,364/50,415 | 14.1% 22,996/163,578 | +6.5pt |
| 2019年度 | 22.9% 11,838/51,671 | 15.2% 25,643/169,126 | +7.7pt |
| 2020年度 | 19.6% 8,902/45,492 | 16.9% 20,826/123,497 | +2.7pt |
| 2021年度 | 21.3% 10,427/48,881 | 16.9% 27,152/160,868 | +4.5pt |
| 2022年度 | 17.3% 8,151/47,000 | 17.0% 30,374/179,048 | +0.4pt |
| 2023年度 | 24.1% 11,927/49,407 | 15.3% 28,098/183,869 | +8.9pt |
| 2024年度 | 21.9% 10,822/49,337 | 17.8% 34,170/192,099 | +4.1pt |
| 2025年度 | 24.2% 12,316/50,920 | 17.2% 33,505/194,542 | +7.0pt |
10年すべてで、 修了者の合格率のほうが高くなっています。 直近の2025年度は24.2%と17.2%で、 差は7.0ポイントでした。
ただし、差は毎年同じではありません。 2022年度は17.3%と17.0%で、 差は0.4ポイントしかありませんでした。
2020年度と2021年度は、10月と12月の2回に分けて実施されました。 このうち12月の回だけは、修了者の合格率10.7%に対して 一般受験者の合格率13.1%で、 逆になっています。受験者の顔ぶれも実施の仕組みも異なる回なので、 上の表には入れていません。
「5問もらえる」わけではありません
ここが誤解されやすいところです。免除されるのは出題であって、得点ではありません。
満点も合格基準点も、5問ぶん低くなっています。 5問ぶんの得点が上乗せされるのではなく、その5問を解かなくてよい仕組みです。
得になるのは、その5問を取りこぼす可能性がなくなる点です。 免除がなければ、5問のうち何問かを落とす前提で、残りの問題で必要な点数を稼ぐことに なります。 逆に、その5問を確実に取れる人にとっては、免除の有無で必要な正答数は変わりません。
この差が、講習の効果とは限りません
表の差を、そのまま「講習を受けたから上がった分」と読むことはできません。
講習を受けられるのは、宅建業で働いている人だけです。 日ごろ業務で法令や取引に触れている人と、そうでない人を比べていることになります。 会社が受験を勧め、費用を負担し、勉強時間を確保することを認めている場合もあります。
どれも公表資料には書かれていないので、それぞれの要因が合格率に与える影響を 切り分けて測ることはできません。
判断するときに
この数字から言えるのは、修了者のほうが高い年が続いていることにとどまります。 講習にかかる費用は実施機関ごとに異なります。このサイトには掲載していないので、 受講する機関の案内で確かめてください。
宅建は年1回で、受験料は8,200円です。 落ちても成績を持ち越す仕組みはありません。 1回の受験にかかる重みが大きい試験なので、使える手段があるかどうかは、 先に確かめておく価値があります。
日程・申込の期限は『宅地建物取引士資格試験』のページに、 合格基準点の動きは 『宅建の合格基準点は、10年でどう動いたか』 にまとめています。