合格率データブック

試験選びに役立つデータ

その合格率は、新卒の数字です

合格率9割の試験でも、既卒だけを見ると3割を切ることがあります。新卒と既卒が分けて公表されている医療系の国家試験について、差がどれだけあるかを並べました。

公開:2026-10-25

医療系の国家試験には、合格率が9割を超えるものがいくつもあります。 これだけ見ると、受かって当たり前の試験のように思えます。

ただ、この数字には、受験者のほとんどが新卒者だという前提が隠れています。 学校を出てすぐ受ける人と、一度落ちて翌年また受ける人とでは、 同じ試験でも合格率がまったく違います。

看護師国家試験を例にします。 直近の回(第115回)の全体の合格率は88.3%でした。 ただ、受験者59,614人のうち 90.6%が新卒で、全体の合格率は新卒者の結果にほぼ左右されます。 新卒だけを見ると94.1%、既卒だけを見ると32.3%です。

新卒と既卒で、どれだけ違うか

下の表は、新卒と既卒を分けて公表している10試験について、 収録している最新の回の数字をまとめたものです。差の大きい順に並べています。

試験 回 新卒 既卒 差
視能訓練士国家試験 第56回 98.5% 766/778 26.9% 7/26 71.5pt
臨床検査技師国家試験 第72回 93.3% 3,793/4,064 29.1% 183/629 64.2pt
診療放射線技師国家試験 第78回 83.8% 2,585/3,084 20.1% 85/422 63.7pt
看護師国家試験 第115回 94.1% 50,862/54,036 32.3% 1,804/5,578 61.8pt
理学療法士国家試験 第61回 94.9% 10,782/11,366 35.0% 374/1,070 59.9pt
保健師国家試験 第112回 89.9% 6,392/7,109 30.7% 110/358 59.2pt
歯科医師国家試験 第119回 80.2% 1,482/1,849 27.8% 275/988 52.3pt
作業療法士国家試験 第61回 96.6% 4,636/4,801 49.8% 311/625 46.8pt
医師国家試験 第120回 94.7% 8,716/9,205 54.6% 423/775 40.1pt
助産師国家試験 第109回 99.8% 2,014/2,018 92.9% 26/28 6.9pt

9試験で、差が20ポイントを超えています。 いちばん大きいのは視能訓練士国家試験の71.5ポイント、 いちばん小さいのは助産師国家試験の6.9ポイントでした。

3つに分かれている試験もあります

薬剤師国家試験は、新卒・既卒の2つではなく、 6年制課程の新卒・6年制課程の既卒・それ以外の3つに分けて公表されています。

区分 受験者 合格者 合格率
6年制新卒 7,781 6,711 86.2%
6年制既卒 4,871 2,013 41.3%
その他 122 25 20.5%

この差を、どう受け取るか

差が大きいのは事実ですが、「既卒だと受からない」という意味ではありません。 数字の読み方として、気をつけたい点が3つあります。

1つめは、既卒の人数が新卒よりずっと少ないことです。 上の表でも、既卒の受験者数が3桁にとどまる試験がいくつもあります。 人数が少ないと、合格率は回ごとに大きく動きます。1年分だけを見て判断してよい数字では ありません。

2つめは、既卒には、事情の違う人が混ざっていることです。 前年に落ちて1年かけて勉強した人も、学校を出てから何年かたって受け直した人も、 仕事をしながら受けた人も、同じ「既卒」に入ります。 この区分は学校を出た時期で分けたもので、準備の量で分けたものではありません。

3つめは、新卒の合格率が高いのは、受験前の段階があるからです。 養成校では、国家試験に向けた対策が授業に組み込まれています。 学校側が合格率を気にするため、合格の見込みがある人の受験が特定の年に集中しやすい、 という事情も指摘されています。

自分がどちらで数えられるか

受験を考えるときに見るべきなのは、公表されている全体の合格率ではなく、 自分が入る区分の合格率です。

いま養成校にいるなら、参考になるのは上の表の「新卒」の数字です。 一度受けて再挑戦するなら、「既卒」の数字です。全体の合格率が9割でも、 既卒にあたる人の合格率はそれよりかなり低くなります。

逆に言えば、在学中に受けるその1回が、最も条件のよい受験機会だということでもあります。 ここに挙げた試験は年1回のものがほとんどで、次は1年後になります。

各試験の区分別の数字は、各試験のページでも年ごとに見られます。 収録しているのは11試験・124回分で、 すべて実施団体や所管官庁が公表した資料に基づいています。