司法書士試験を受けるか考えるとき、受験者が増えていると「競争が厳しくなるのでは」と気になります。 ただ、受験者だけが増えたのか、合格者も増えたのかで、数字の意味は変わります。 2021〜2025年度の最終結果では、受験者数と合格者数がともに増え、受験者に対する最終合格率は大きく変わっていません。
ここでは法務省の一次資料で人数を確認できる連続した5年度を使います。 このサイトにはそれ以前の年度もありますが、一部に二次資料を含むため、今回の比較には入れていません。
受験者が増えた5年間に、合格者も増えている
| 年度 | 受験者 | 最終合格者 | 最終合格者÷受験者 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 11,925 | 613 | 5.14% |
| 2022 | 12,727 | 660 | 5.19% |
| 2023 | 13,372 | 695 | 5.20% |
| 2024 | 13,960 | 737 | 5.28% |
| 2025 | 14,418 | 751 | 5.21% |
2021年度の受験者は11,925人、2025年度は14,418人です。 期間の両端を比べると2,493人、20.9%増えています。 同じ期間の最終合格者は613人から751人へ、 138人、22.5%増えました。
受験者の増加率と合格者の増加率が近いため、最終合格率は 5.14%から5.21%へ、 0.07ポイントの変化にとどまります。 「受験者が増えた」という情報だけでは、この動きを見落とします。
合格率が近いことは、合格者の定員を示していない
合格率が似た数字で続くと、毎年一定割合を合格させているようにも見えます。 しかし、この表は受験後の集計結果です。採点方法や合格者数の決め方を、この比率だけから推定することはできません。
実際、合格者の人数は年度ごとに異なります。人数が増えていることと、試験が易しくなったことも別の話です。 問題の内容、受験者の準備状況、受験経験、得点分布をそろえて比較していないため、 この表から一人の受験者にとっての難易度の変化は測れません。
ここでいう受験者は、午前と午後の両方を受けた人
法務省の最終結果にある受験者数は、午前の部と午後の部の双方を受験した人数です。 出願した人全員でも、午前だけ受けた人を含む人数でもありません。 また、表の合格者は筆記試験だけの合格者ではなく、最終合格者です。
受験者数の増減を調べる際は、同じ定義の数字を並べる必要があります。 出願者の増加と、両方の部を受験した人の増加を混ぜると、参加状況の変化を競争の変化と取り違えます。 出願者を分母にした数字は、司法書士の合格率と分母の記事で別に計算しています。
受験計画に使うときは、人数と得点条件を分けて確認する
この5年度から確認できるのは、受験者が増える中で最終合格者も増えたという事実です。 「受験者が増えるなら受けない」「合格者が増えたから今年は受かりやすい」という判断まで進める根拠にはなりません。
受験する年度を決める際には、過去の人数を背景として把握したうえで、 その年度の出題範囲、各区分の基準点、総合点の条件を確認します。 特に2024年度からは筆記試験の満点が変わっているため、 合格点の比較方法も分けて押さえると、過去問の得点を読み違えにくくなります。