不動産鑑定士試験には短答式と論文式があります。 それぞれの合格率を掛ければ、最初から最後までの合格率が出るように見えますが、 公表されている二つの合格率を、そのまま掛け合わせることはできません。 論文式の受験者に、その年の短答式合格者以外も含まれるためです。
2026年の二つの合格率は、分母が異なる
| 段階 | 受験者 | 合格者 | 各段階の合格率 |
|---|---|---|---|
| 短答式 | 2,407 | 900 | 37.39% |
| 論文式 | 1,182 | 208 | 17.60% |
短答式の合格率は、短答式を受けた2,407人のうち、900人が合格した割合です。 論文式の合格率は、論文式を受けた1,182人のうち、208人が合格した割合です。 後者の分母は、前者の合格者数と一致していません。
単に率を掛けると6.58%という数字になります。 しかし、この数字は公表された通算合格率ではなく、異なる集団の比率を掛けただけの計算結果です。 初めて受ける人が同じ年に両段階を通過する割合として使えません。
論文式には、以前の短答式合格者もいる
不動産の鑑定評価に関する法律第9条・第10条では、論文式の対象に短答式の合格者と短答式を免除された人を含めています。 短答式に合格した人は、申請により、合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行われる短答式が免除されます。 国土交通省の制度案内も、翌年・翌々年の免除を説明しています。
したがって、ある年の論文式には、その年に短答式を通過した人と、以前の年に通過して免除を受ける人が混在します。 2026年の論文式受験者が、同年の短答式合格者より282人多いことも、この仕組みと矛盾しません。
ただし、その差の282人が、そのまま免除者の人数とは限りません。 同年の短答式合格者全員が論文式を受けたかどうかを、この集計だけでは確認できないためです。 差し引きだけで受験経路の人数を復元することは避けます。
通算の割合を出すには、同じ集団を追う必要がある
「2026年に短答式を受けた人が、同じ年の論文式まで何人合格したか」を求めるなら、 論文式合格者の中から、2026年の短答式受験者だった人を特定する必要があります。 論文式合格者全体を、2026年の短答式受験者で割るだけでは、その条件を満たしません。
さらに「何年かけて合格したか」を知るには、翌年以降の結果も同じ人について追わなければなりません。 年度別の合計人数からは、受験回数、初回受験から合格までの年数、途中で受験をやめた人の割合を計算できません。
受験計画では、今いる段階に対応する数字を見る
短答式から受ける人は、まず短答式の出題範囲と結果を確認します。 短答式の免除を使う人は、有効期間と申請条件を公式の受験案内で確認したうえで、論文式の準備を考えます。 一つにまとめた見かけの率より、今の受験経路に対応する情報の方が計画に結び付きます。
各段階の人数がどう増減したかは、短答式・論文式の受験者数の推移で確認できます。 どちらの率も集団の過去の結果であり、個人の合格確率や必要な学習年数を示すものではありません。